2014年08月01日

建築資金 - 教会建築物語

建築資金

 さて、教会堂に限らず、建物を建てるのに問題になるのは資金と設計です。
 これは車の両輪のごとく、一方だけが満たされても他方が十分でなければ建つものも建たず、一方が進んで他方が遅れても同様です。ましてや当教会のように、両方とも白紙に近いような場合は何をかいわんやです。
 1月から始めた月1回の建築委員会でも、毎回お金の話と、どんな教会を建てるかの繰り返しでした。みんなそれぞれに描く夢の教会堂は、お金の話になると急にしぼんで現実に引き戻され、ため息をつくのです。
 そこで先ず、一体われわれの力では精一杯いくらの建物が建てられるか徹底的に話し合いました。じつはわれわれが30年余りかけて教会建築のためにコツコツと貯めてきた額が昨年末ついに、というよりやっと1000万円を越えました。「おやっ、案外持っているじゃないか」と思われる方もいるかも知れません。でもこのお金は、現在在籍する教会員は勿論のこと、過去30年この教会を巣立っていった多くの人々の汗の結晶なのです。
 現在の教会委員で50才過ぎの人々は、当時青年会の中心となって廃品回収やバザーで得たささやかなお金を積みたて、ひょっとして自分たちの結婚式は新しい教会堂で、などと夢を見て頑張った人たちですが、その後襲った石油ショックによるインフレなどにも見舞われ、自分たちの結婚式はおろか子供達の結婚式も危うしといった現状なのです。「こんな調子じゃ、われわれの葬式も間に合わんでよ」といった冗談も出る始末。
 ちょっと話がそれましたが、とにかく現在1千万円だけは確保しています。この上にー体いくら上乗せできるかが問題なのです。そして、教会堂だけでなく、牧師館もあわせて建てなければなりませんし、建築期間中の礼拝をする場所や仮の牧師館も確保しなければなりません。
 「ところで、教区からは、いくらぐらい援助してくれるんですか」。ある日一人の信徒が司祭に質問しました。ほとんどの信徒は、教区からの援助は無理だと承知していましたが、一部の人はある程度の援助があるものと期待していました。
 「あのう、教区からの援助はほとんどありません」。司祭は、まるで自分が悪いかのように口籠もりながら答えました。「そんな無茶な、ほなわれわれだけで建てえ、いうんですか。他の大きな教会が援助してくれるとか・・・」。どちらかというと熱血漢の彼は、顔をやや紅潮させながら質問を続けます。「いえ、ひょっとして管区から500万円借りれるかもしれませんし、他の教会からも少しは・・・」。司祭が答えるのを引き継ぐように、教区や財政に詳しい委員が、神戸教区の財政が苦しいこと、従って教役者の給与は神戸教区が全国でもかなり低い方であること、大きな教会はそれなりに未自給教会を助けていることなど説明を続けました。
 「しかしわからんなあ。日本聖公会って全国組織なんでしょ? なんで教区間に貧富の差があるんですか。もっとも、教会にも貧富の差があるんやからしかたないか・・・。もひとつ分からんのは、なんで中、四国教区やのうて神戸教区いうんですか・・・」。
 いやはや、話がとんだ方へいってしまいました。彼の質問に答えるためには、日本聖公会の宜教の歴史をひもとかなければなりませんし、この物語の本意から外れますのでこのへんでやめましょう。しかし彼の言うことも分らないわけでないのです。じつはその少し前にある委員が、隣の大阪教区では教会を建てるときには教区から2、3千万円の補助金が出るという話を聞いてきたのです。また先日は、当教会から7、8年前に大阪のある教会へ移った信徒が、久しぶりに当教会を訪れていうには、2年前にその教会は、なんと2億円かけて礼拝堂を建て直したという話でした。
 「まあ、あるところにはあるっちゅうこっちゃ。上を見たらきりないし、だいいち、ない袖振れいうてもしゃあないやないか。われわれがー所懸命しとったら、神様もなんとかしてくれるやろ」。いつもニコニコと笑顔を絶やさない委員の言葉で、熱血漢氏も少し落ち着きを取リ戻しました。
 さて、もうー度話を本筋に戻すとして、1千万円の手持ちで、一体いくらの建物を建てるか。喧々諤々?の話し合いの結果、結局一切合財入れて3500万円を目標とすることに決定しました。つまり現在の建物を壊し、礼拝堂と牧師館を建て、その調度品を備え、建築の間の仮の礼拝する場所や牧師さんの借家の費用等すべてを含め3500万円で賄うということです。なぜこの額に決まったか、ケンケンガクガクの話し合いの結果にしては少々だらしないのですが、つまり3千万ではちゃちな物しか建たないだろうし、4千万はちょっとわれわれの力では手に負えない、それじやあその中をとって・・・といったところが正直な話なのです。しかし果たしてそれだけの額が集まるのでしょうか。

( 神のおとずれ・1988年9月号 )

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